箱根リトリートで始まった許しへの歩み
2年前に「マインドブロックを外す講座」を受講してくださったSさんが、2025年3月、箱根にリトリートに来てくださいました。その後、ガイドからのメッセージによりおススメしたミニ講座を受けていただく流れになりました。
リトリートの間にSさんが九頭龍神社で初めて口にした「亡きお父さんへの想い」。その言葉をきっかけに、私が2年前から感じていたSさんのある“無意識の癖”が、お父さんとの関係と深く繋がっていることに気づきました。
実はその癖には2年前の講座受講時から気づいていたのですが、「まだ伝えるべき時ではない」とガイドから伝えられていたため、ずっと機会を待っていたのです。

癖の正体と気づきの流れ

その癖とは、LINEなどのやりとりで、私の書いた言葉を“オウム返し”にそのまま返してくる、というものでした。たとえば、私がいくつかの事柄を送ると、それぞれに対して私の言葉をそのまま引用して返す、というようなイメージです。
もちろんこれはSさんの完全に無意識の行動です。むしろ、その背景にある「何か」に気づいてほしいという宇宙の導きがあったように感じます。
ミニ講座の初回でこのことをお伝えしようとした際、再びガイドから「直接伝えず、気づく方向に導いて」という言葉が来たため、LINEのやりとりの中に癖が隠れている、と、ヒントとなるような私からの質問をいくつか投げかけることをしました。それが少しずつSさんの潜在意識を動かす言葉になったようです。
そしてある日、Sさんから「もしかして……?」という返信が届きました。ようやくご自身の癖に気づかれた瞬間でした。そのときの「そういえばそうですね……」という反応が、とても印象的でした。
無意識の癖が語っていた「恐怖」

その癖が私とのやり取りだけに現れていたのかは分かりませんが、私にはその癖の理由が「マインドブロック」によるもの、と分かっていました。
特に、「怒られたくない」「良い子でいなければ」という思いが根底にあり、それが「言われたことをそのまま返せば安全」といった無意識の選択に繋がっていたことも見えていました。
言葉をそのまま返すことで、「ちゃんと受け取りました」と示しているつもりだった。けれどそこには幼少期からの「怖いお父さんには逆らえない」「指示に従わないと何をされるか分からない」という、Sさんに根付いていた深い恐怖が癖として表現されていたのです。
亡きお父さんとの再会と「通訳」としての時間
次回の勉強会で、その癖の背景にある感情をさらに深く見ていくことになりました。すると、Sさんの中に押し込められていた「お父さんへの恐怖」「許せない思い」がどんどん浮かび上がってきました。
その時、亡くなられたお父さんのエネルギーが私とつながり、Sさんとの間を“通訳”として取り持つ時間が始まりました。
Sさんが若い頃に「お父さんに殺されるかもしれない」と思った出来事がありました。その出来事の真意、そして幼少期から厳しく育てた理由を、お父さんの魂は静かに語ってくれました。
それは、Sさんに対する「深い愛」からの行動だったのです。
Sさんは、長年「お父さんが怖い」「嫌い」と感じていましたが、初めて“お父さんの本当の思い”があったことを知り、涙が止まりませんでした。
Sさんのトラウマに隠された事実

お父さんは、Sさんのことが本当に可愛かったのだと伝えてくれました。
初めての女の子だったこと、Sさんが自分にとても似ていたことで、どう接してよいか分からなかったこと。そして、似ているからこそ、自分を見ているようで厳しく当たってしまったこと。
亡くなって18年経った今だからこそ話せる真実を、お父さんは伝えてくれました。
さらに、「Sに守護霊としてつきたいが、お前はまだオレを許していないだろう?」と、魂の言葉が私に届きました。
お父さんは生前、Sさんがこのままだと危険な目に遭う、と察したときには、全力でその危険を回避しようとしてSさんに辛く当たりました。その時の激しい行動すら愛で、しかしSさんにとっては大きな恐怖のトラウマとして今まで残っていました。
お父さんのSさんをどうしても守らなければならない、という魂からの声が行動となったとき、Sさんにとってはトラウマとして残るほどの激しいものとなって表現されたのです。
親が子供に向ける愛と、子供が欲しい愛はなかなか一致しないところがもどかしいと、セッションをしていて私も時々感じます。
「この人(私)から学んだことを実践すればきっとその許しの道が開ける」とも伝えてくれました。
「ちゃんとやれよ」とも 笑
手放しと解放、広がる愛
Sさんは、「お父さん怖い」「嫌い」と、何十年もずっと握りしめていた感情を、ようやく手放す準備ができたのだと思います。「お父さんに縛られていた」と感じていた人生が、「実は自分自身が握りしめていた」ことに気づく日は、そう遠くないはずです。
すべての始まりは、リトリートで訪れた箱根の九頭龍神社で「お父さんがずっと怖かった」とぽつりとこぼした一言でした。
その言葉から始まった1か月のミニ講座で、お父さんからの温かなメッセージを受け取ったSさんの行動力は、お父さんがSさんを箱根へと導いたとしか思えません。
お父さんの愛に包まれて

勉強会の後に届いたSさんからのLINEは、驚くほど軽やかになっていて、そこにはもう“オウム返し”は見られませんでした。
大きな解放、そして深い愛がそこに広がっているのを感じました。
通訳しているとき、Sさんのお父さんは生前、とてもSさんを愛していることを感じました。今はもう光の存在となられていましたので、俯瞰できる状態で愛を語ってくださいました。
その中で、お父さんにとっての「前世」になりますが、Sさんをとても大事に思っていた事実と、Sさんがその愛を分かってくれなかったけれど、それでも娘さんを愛していたお父さんの本当に深い愛を感じ、私も涙が出ました。
亡きお父さんとSさんへ、心からの感謝を込めて、この出来事をご紹介させていただきました。