HIV感染からエイズ発症までと感染経路や症状、治療について

2024年3月に、2023年に報告されたHIV感染者とエイズ患者が960人で、7年ぶりの増加があったと発表されました。
今回は、増加傾向にある性感染症であるHIVについてご紹介しようと思います。
※下記情報はあくまでも一般的な情報となります。実際に心当たりがある症状が出ている場合は、専門の病院にまずご相談しましょう。

2023年のHIV報告960人 7年ぶり増、検査件数も増加:朝日新聞デジタル (asahi.com)

朝日新聞デジタルから引用
目次

HIVとは?

HIVとは「ヒト免疫不全ウイルス」を略した言葉で体に入ると色々な悪さをするとても恐ろしいものです。
HIVウイルスが体に入ってしまうとリンパ球が壊され、体を病気から守る免疫の働きが少なくなる為、病気の原因になるウイルスやガンなどの深刻な病気になりやすくなります。
感染する部位は全身とされています。

HIVの感染経路

性行為による感染

もっとも多い感染経路。
HIVを含む精液、膣分泌液、血液などが性行為によって相手の性器や肛門、口などの粘膜や傷口から体内に入って感染します。

血液を介した感染

HIVが存在する血液の輸血や、依存性薬物の“回し打ち”といった注射器の共用、医療現場・献血等での針刺し事故などに感染の可能性があります。
日本の医療機関や献血場所では、一度きりの使い捨て注射針を使用しているので、使い回しによる感染の心配はありません。
なお、輸血される血液は厳重な検査によって安全性が確保されているため、極めて稀ですが、輸血によるHIV感染の可能性が全くないとは言い切れないかもしれません。

母子感染

母親がHIVに感染していると、妊娠中や出産時にHIVが子供に感染する可能性があります。
母乳中にもHIVが存在しているので、授乳によっても感染する可能性があります。
万が一、母親が感染していた場合でも、医師の指導の下、妊娠中からHIVの治療薬を内服したり、母乳を与えないといった適切な対策を取ることで、赤ちゃんへの感染を防ぐことができます

HIV感染の心配はないと言われている行動

・汗、涙に触る
・洋式トイレの便座の利用
・電車のつり革、手すりなど
・カラオケのマイク
・お風呂、プール、洗面台の共有

周りにHIVに感染した人がいたとしても、心配する必要はありません。
むやみに怖がらず、正しい知識や理解を持つことが大切です。

HIVの感染症の経過

HIVに感染してもすぐにエイズを発症するわけではなく、感染後の経過は症状によって3つの時期に分類することができます。

急性期

  • HIVに初めて感染した段階です。この段階では、多くの人が何も感じずに過ごすことがありますが、一部の人は急性HIV感染症と呼ばれる症状が現れることがあります。
  • 急性HIV感染症の症状には、発熱、リンパ節の腫れ、倦怠感、発疹などが含まれます。これらの症状は通常、感染後2週間から4週間の間に現れ、一般的には数日から数週間で消えることがあります。

無症候性キャリア期

  • 急性期の症状が消えた後、感染者はしばしば何年も無症候性期間を経験します。この期間中、HIVは体内に存在しますが、症状が現れないか、または非常に軽度です。
  • しかし、感染者は他の人にHIVを伝染させる可能性があります。定期的なHIV検査と医療の管理が重要です。

エイズ期

  • エイズ期に進行すると、免疫系が徐々に破壊され、重篤な合併症が発生する可能性が高くなります。
  • エイズの一般的な合併症には、特定の種類の感染症や癌が含まれます。これには、肺炎やツベルクリン菌感染症などの感染症、カポジ肉腫や非ホジキンリンパ腫などの癌があります。
  • 他にも、慢性的な下痢、体重減少、慢性疲労などの一般的な症状が現れることがあります。
  • エイズ期の治療は、HIV感染の段階に応じた薬物療法と合併症の管理が含まれます。

HIVの検査と診断

血液検査

HIVの主要な検査方法は、血液検査です。
通常、採血された血液サンプルを検査室に送り、血液中のHIV抗体やウイルス自体を検出するために解析されます。
近年の検査方法では、抗体だけでなく、HIVの遺伝物質である核酸も同時に検出することができるため、より早期に感染を検出できるようになりました。

検査結果の解釈

検査結果は陽性(HIV陽性)、陰性(HIV陰性)、または不確か(検出不能)のいずれかに分類されます。
陽性の場合、HIV感染が確認され、追加の検査や治療が必要になります。
陰性の場合、感染がないことを示しますが、最初の感染から数週間~数ヶ月の間に検査することが推奨されます。
不確かな結果の場合、追加の検査や再検査が必要になる場合があります。

診断とカウンセリング

検査結果が陽性の場合、医療提供者は感染の診断を確認し、感染の段階、治療オプションについてのカウンセリングを行います。
検査結果が陰性または不確かな場合、医療提供者は検査結果を説明し、再テストのタイミングや予防策についてのカウンセリングを行います。

HIVの治療

抗レトロウイルス療法(ART)の開始

HIV感染が確認されると、通常は抗レトロウイルス療法(ART)が開始されます。ARTはHIVの増殖を抑制し、免疫系を強化するための薬物療法です。

薬の選択

医師は、患者の健康状態、ウイルスの耐性、薬物アレルギー、他の薬物との相互作用などを考慮して、適切なART薬物の組み合わせを決定します。

定期的なフォローアップとモニタリング

治療が開始されると、患者は定期的なフォローアップとモニタリングが必要になります。これには、ウイルス量やCD4細胞数の定期的な測定、副作用の監視、他の健康上の問題の評価などが含まれます。

定期的な薬物経口摂取

ART治療は通常、毎日定期的に薬物を摂取することが大切になります。治療の成功のためには、薬物を指示通りに摂取することが不可欠です。

治療の長期管理

HIV治療は通常、終身的なものとなります。ARTの長期間の継続的な管理と定期的なモニタリングが必要です。

予防措置の遵守

HIV感染者は、他の人に感染を広げないように予防措置を遵守する必要があります。これには、安全なセックスの実践、避妊具の使用、血液や体液の交換のリスクを避けることが含まれます。

セックスの後のHIVへの不安

発症して2週間ほどで発熱、倦怠感、筋肉痛、肺に違和感、下痢、のどが痛い、嘔吐、リンパ節の腫れなどの症状が出ることがあるようです。
これらの症状は風邪やインフルエンザ、コロナなどの症状と共通している点が多いため、疑うこともなく、つい放置しがちです。
もし心当たりがある場合は、医療機関に問い合わせてみる事をお勧めします。
感染が分かり、不安で仕方がないという方がいらっしゃれば、不安を和らげるお力になれると思います。
HIVに感染したら、病院と相談、指示の元治療を受けて頂く流れになりますが、気持ちの面では、カウンセリングを受けても何も変わらない、という方もいるかもしれません。
不安な気持ちで覆われている状況だとしても、不安から感じる「感情」の根本を浄化出来たら、生きる道を明るく照らす光を見つけて頂けるかもしれません。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次